MCP server portals

目次
MCP server portals
開発元Cloudflare
初版2025年8月26日(オープンベータ)
一般提供2026年9月24日
製品群Cloudflare One(Access)
旧称Agents Gateway
種別MCP サーバーの集約と認可のゲートウェイ
ドキュメントdevelopers.cloudflare.com

MCP server portals は、複数の Model Context Protocol(MCP)サーバーを 1 つの HTTP のエンドポイントにまとめる仕組みである。Cloudflare が、ゼロトラストの製品群 Cloudflare One の Access の機能として提供している1。利用者は Access でポータルにログインする。MCP クライアントにはポータルの URL を 1 つ登録すればよく、管理者が許可した複数の MCP サーバーの道具を使える1。

2025年8月26日にすべてのプランでオープンベータとして公開され2、2026年9月24日に一般提供となった3。社内の一部の文脈では Agents Gateway と呼ばれていた。API のパスや Terraform のリソース名には、その名残の agents_gateway や agw が残っている1。

背景

Cloudflare は公開時のブログで、社員が管理されていない MCP サーバーを各自でつなぐ状態を問題に挙げ、組織が MCP の利用を一か所で認可し、記録する必要があると主張した4。Cloudflare のドキュメントは、管理されずに使われる MCP サーバーを「Shadow MCP」と呼び、ポータルをその統制の中心に位置づけている5。

仕組み

接続の流れ

ドキュメントは、リクエストの流れを次のように説明している1。

  1. MCP クライアントがポータルの URL に接続し、OAuth の検出用のメタデータを含む 401 の応答を受け取る
  2. 利用者は自分の ID プロバイダーで Access にログインするか、サービストークンのヘッダーを送る
  3. Access が利用者を確かめ、ポータルは有効な上流のサーバーの道具の一覧を返す
  4. 道具が呼ばれると、ポータルは道具の名前空間から宛先のサーバーを決め、認証情報を付けてリクエストを中継する
  5. 上流のサーバーの応答が同じ経路で返る

ポータルのログインには、2026年3月に加わった managed OAuth を使う。Access が OAuth 2.0 の認可コードフローを肩代わりする仕組みで、新しいポータルでは既定で有効になっている6。

上流の MCP サーバー

ポータルで使う MCP サーバーは、先に Access へ登録しておく。認証の無いサーバーと、OAuth で守られたサーバーのどちらも登録できる1。OAuth のクライアントは既定では動的クライアント登録(DCR)で作られる。登録の際に管理者が上流でログインしたアカウントは、そのサーバーの管理者の認証情報として使われる1。

ポータルへ足したサーバーごとに、「Require user auth」を設定する。有効(既定)にすると、利用者は自分のアカウントで上流のサーバーへ個別にログインする。無効にすると、ポータルの利用者は管理者の認証情報でそのサーバーを使う1。DCR に対応しない Slack や GitHub のような提供元向けには、2026年7月に、事前に登録した OAuth のクライアント ID とシークレットを使う方式が加わった。この方式では利用者ごとのログインが必須である71。

上流との通信には Streamable HTTP と SSE を使う。stdio でしか動かない MCP サーバーは、HTTP で受ける仕組みを別に立てない限り登録できない1。2026年8月には、状態を持たない MCP の仕様 2026-07-28 に対応した。クライアントと上流のサーバーのそれぞれについて、2025年の仕様との互換を保ったまま、使う仕様を自動で選ぶ8。2026年9月22日からは、Cloudflare Tunnel などで Cloudflare につないだ私設のネットワーク上の MCP サーバーも、Cloudflare Gateway を経由して登録できる。ただし OAuth の認可とトークンのエンドポイントは、公開のインターネットから届く必要がある9。

道具の名前

ポータルを通る道具とプロンプトには、サーバー ID が {server_id}_{元の名前} の形で前に付く。たとえば ID が github のサーバーの list_issues は、github_list_issues として見える1。2026年5月からは、上流のサーバーを変えずに道具とプロンプトの名前と説明を書き換えられる。書き換えはポータルごとにも、サーバーごとにも設定でき、ポータルごとの設定が優先される10。

すべてのポータルは、上流の道具とは別に次の 3 つの道具を持つ1。

道具働き
portal_list_servers上流のサーバーの一覧と、それぞれが有効かを返す
portal_toggle_serversサーバーを選び直すページの URL を返す
portal_toggle_single_server1 つのサーバーを、ブラウザーを開かずに有効や無効にする

利用者は MCP クライアントから、上流のサーバーを有効にしたり無効にしたり、ログインし直したりできる。この機能は2026年4月に加わった11。

コンテキストの節約

多くのサーバーを 1 つにまとめると、道具の定義がモデルのコンテキストを圧迫する。ポータルには、これを減らすための 2 つの方式がある。

1 つ目は、2026年3月に加わった optimize_context のクエリパラメーターである12。minimize_tools は道具の説明と入力のスキーマを除いて名前だけを返し、定義は検索用の道具で必要なときに取らせる。ドキュメントは、トークンの使用量を最大で5分の1にできるとしている1。search_and_execute は上流の道具を一覧から隠し、検索と実行の 2 つの道具だけを見せる1。

2 つ目は Code Mode である。Code Mode では、上流の道具が検索と実行の 2 つの道具にまとまる。エージェントは型の付いたメソッドで道具を呼ぶ JavaScript を書き、そのコードは隔離された Dynamic Worker の中で動く。認証情報や環境変数はモデルのコンテキストに入らない1。Code Mode も2026年3月に加わった13。2026年7月からは、ポータルごとに次の 4 つの方針から選ぶ14。

方針API の値既定の状態クライアントからの切り替え
Offoff使えない受け付けない
Opt-inopt_in無効?codemode=search_and_execute で有効
On by defaultdefault_on有効?codemode=off で無効
Enforcedenforced有効受け付けない

新しいポータルの既定は Opt-in である14。上流のサーバーが自前の Code Mode を有効にしている場合、ポータルはそのサーバーに対応しない1。

記録と監査

Access は、ポータルを通した道具・プロンプト・リソースの利用を記録する3。ダッシュボードのログには、時刻・成否・サーバー・使われた道具・処理時間が残る1。2026年2月からは、Logpush でログを外部の保存先や SIEM へ送れる。ただし Logpush は Enterprise プランだけで使える151。2026年3月からは、ポータルの通信を Cloudflare Gateway に通し、HTTP の記録とデータ損失防止(DLP)の検査をかけられる16。

道具の呼び出し回数は API で日ごと・月ごとに集計できる。2026年10月28日には、成功・失敗・キャッシュの別で数える response_status のパラメーターが加わり、既定は成功だけを数えるように変わった17。

自律エージェントからの接続

2026年6月から、ブラウザーでログインできない自律エージェントやボットは、Access のサービストークンでポータルにつなげる18。そのためには、ポータルと各サーバーの Access アプリケーションに同じトークンを認める Service Auth のポリシーを置き、各サーバーの Require user auth を無効にする。利用者ごとのログインを求めるサーバーは、サービストークンのセッションには出てこない18。

2026年11月2日には、Access のサービストークンに環境やチームなどのキーと値のタグを付け、そのタグでポリシーを書けるようになった19。

制限

ドキュメントは2026年11月2日時点で、次の制限を挙げている1。

  • 1 つのポータルに載せられる MCP サーバーは80までである
  • プロキシを経由したクライアントを拒む MCP サーバーは、登録の段階で 403 を返し、使えない
  • 管理者の OAuth のトークンが上流で失効すると、サーバーは利用者から見えなくなるが、管理者には通知されない
  • 事前登録の OAuth クライアントを使うサーバーの道具の一覧は、最初の利用者がログインしたときにだけ取得され、その後は更新されない
  • ポータル経由で上流のサーバーを認可するときは、Access の独立した多要素認証・目的の申告・一時的な認証の承認が求められない。メールアドレス・グループ・国・端末の状態などの条件は適用される

歴史

時期出来事
2025年8月26日すべてのプランでオープンベータとして公開2
2026年2月27日Logpush に対応15
2026年3月20日managed OAuth と Gateway 経由の通信に対応616
2026年3月26日コンテキストの節約と Code Mode に対応1213
2026年4月2日セッションの管理に対応11
2026年4月17日ブラウザー向けのホームページとサインアウトを追加20
2026年5月28日道具とプロンプトの別名に対応10
2026年6月26日サービストークンでの接続に対応18
2026年7月30日Code Mode の 4 つの方針を追加14
2026年7月31日事前登録の OAuth クライアントに対応7
2026年8月25日MCP の仕様 2026-07-28 に対応8
2026年9月22日私設のネットワークの MCP サーバーに対応9
2026年9月24日一般提供を開始3
2026年10月28日呼び出し回数の集計を応答の状態で絞り込めるようにした17

外部リンク

出典

  1. Cloudflare「MCP server portals」Cloudflare One docs。2026年11月2日更新。2026年11月3日閲覧。 ↩ ↩2 ↩3 ↩4 ↩5 ↩6 ↩7 ↩8 ↩9 ↩10 ↩11 ↩12 ↩13 ↩14 ↩15 ↩16 ↩17 ↩18

  2. Cloudflare「MCP server portals」Cloudflare Changelog、2025年8月26日。2026年11月3日閲覧。 ↩ ↩2

  3. Cloudflare「MCP server portals are now generally available」Cloudflare Changelog、2026年9月24日。2026年11月3日閲覧。 ↩ ↩2 ↩3

  4. Cloudflare「Securing the AI Revolution: Introducing Cloudflare MCP Server Portals」The Cloudflare Blog、2025年8月26日。2026年11月3日閲覧。 ↩

  5. Cloudflare「MCP governance」Cloudflare Agents docs。2026年11月3日閲覧。 ↩

  6. Cloudflare「Managed OAuth for Cloudflare Access」Access changelog、2026年3月20日。2026年11月3日閲覧。 ↩ ↩2

  7. Cloudflare「Static OAuth client credentials for MCP server portals」Access changelog、2026年7月31日。2026年11月3日閲覧。 ↩ ↩2

  8. Cloudflare「MCP server portals support MCP 2026-07-28 specification」Cloudflare Changelog、2026年8月25日。2026年11月3日閲覧。 ↩ ↩2

  9. Cloudflare「Private MCP server support for MCP server portals」Cloudflare Changelog、2026年9月22日。2026年11月3日閲覧。 ↩ ↩2

  10. Cloudflare「Tool and prompt aliases for MCP server portals」Cloudflare Changelog、2026年5月28日。2026年11月3日閲覧。 ↩ ↩2

  11. Cloudflare「Session management for MCP server portals」Cloudflare Changelog、2026年4月2日。2026年11月3日閲覧。 ↩ ↩2

  12. Cloudflare「Context optimization for MCP server portals」Cloudflare Changelog、2026年3月26日。2026年11月3日閲覧。 ↩ ↩2

  13. Cloudflare「Code Mode for MCP server portals」Access changelog、2026年3月26日。2026年11月3日閲覧。 ↩ ↩2

  14. Cloudflare「Admins can turn on Code Mode by default for MCP portal users」Access changelog、2026年7月30日。2026年11月3日閲覧。 ↩ ↩2 ↩3

  15. Cloudflare「Export MCP server portal logs with Logpush」Access changelog、2026年2月27日。2026年11月3日閲覧。 ↩ ↩2

  16. Cloudflare「Route MCP server portal traffic through Cloudflare Gateway」Access changelog、2026年3月20日。2026年11月3日閲覧。 ↩ ↩2

  17. Cloudflare「Filter MCP tool-call analytics by response status」Access changelog、2026年10月28日。2026年11月3日閲覧。 ↩ ↩2

  18. Cloudflare「Service token support for MCP server portals」Cloudflare Changelog、2026年6月26日。2026年11月3日閲覧。 ↩ ↩2 ↩3

  19. Cloudflare「Organize and authorize Access service tokens with tags」Access changelog、2026年11月2日。2026年11月3日閲覧。 ↩

  20. Cloudflare「Homepage and sign-out for MCP server portals」Cloudflare Changelog、2026年4月17日。2026年11月3日閲覧。 ↩

最終更新